2014年6月15日日曜日

高砂温泉

旭川にはお風呂のデパートがある。

北海道民であれば一度はCMを見たことがある高砂温泉。
子供の頃に行ったことがあるかもしれないが
旭川に引っ越してきてから、初めて行ってみた。

旭川市街から深川に抜けていく台場4条通りから…は結構車通りが多いので
神楽岡公園の雨粉・新旭川通りを通って神居町の方から行くことにした。
連日の雨で、5月末の信じられない暑さから一転今日はかなり涼しい。


高砂温泉のある高砂台の辺りは
サンバレー遊園地、旭川ジャンボプール、漢方励明薬湯など
色々なレジャーランドがあったように思える。

旭川市民ならご存知だろうが、2000年に入ってからはジャンボプールは完全に消え去った。
遊園地と漢方励明薬湯は名前を変えて今でも経営を続けているが、
なんにせよ子供の頃に見て、遊んだ景色や場所は変わっていた。


高砂台に入り、案内看板が出てくるところからだんだん時代設定が狂っていく。
何十年も変わってないであろう古ぼけた高砂台の案内看板に高砂温泉の文字。
案内に沿って緩やかな丘を道なりに進んでいく。
グループホームの通りを抜けると、かなりボロッちい建物が見えてくる。
そこが高砂温泉。

近づけば近づくほど怪しさの濃度が増していく。
昭和の時代からタイムスリップしてきたような本館や
デカダンでモダンなフォントで書かれた温泉のキャッチ。
”仙人の露天風呂”がテーマなのか、仙人や天女の看板などがお出迎えしてくれる。
極めつけは駐車場にあった「高砂丸」という船が飾られているところ。

これだけで「ここはヤバい!」と思ったのだが、 これはまだあいさつ程度に過ぎなかった。
高砂温泉のロビーに入ると、かなり大きな木彫りのワシやら、仙人像やら、壷やらが飾られている。
どんどん平成の感覚を失っていく。
お土産コーナーには「これ誰が買うんだよ!」
っていうような怪しい置物が所狭しとディスプレイされている。しかも結構高い。


ロビーで600円払い、お風呂のデパートと言われる浴場に入る。
今までの悪趣味体験から、一体どんな悪趣味な風呂なのかとワクワクしながら向かう。

浴場に入るとまず目に入ったものは湯船の中からそびえたつ灯台だった。
これでもう俺は高砂温泉に満点をあげてしまった。


風呂の中は完全に平成の時代から隔離された昭和の悪趣味を凝縮したような空間だった。
無駄にライトアップされている湯船やら、
効果のよくわからないスピーカーから流れる音楽を聴きながら入る露天風呂やら、
ありがたみのまったくないデフォルメされた仙人や天女の壁画やら、
もういたれりつくせりの歓迎に俺は快楽さえ覚え、
その快楽に身を委ねるしかなかった。
ここはドリームランドだ!ワンダーランドなんだ!

今のスーパー銭湯は綺麗だし、施設もしっかりしているけど
どことなくソワソワする感じがあった。
しかしここは誰に遠慮するという気持ちにもならなかった。
あと、露天風呂から眺める旭川市街の景色は純粋に良かった。


おそらく昭和特有の成金主義的な
金に飽かして色んなオブジェで埋め尽くすという感じで出来た温泉なんだろうと思うけど、
その割には安っぽく、いびつで悪趣味で、ライトな秘宝館という感じの温泉だった。
だけどそこがたまらなく良かった。

現代の時間の流れに嫌気がさした時、
昭和で止まった時間の中に戻りにまた来ようと思う。

0 件のコメント:

コメントを投稿